神原 太郎

―ご入社までの経緯を教えてください。

以前は板金工として、工場に勤めていました。ものづくりの板金で、溶接や曲げの技術を駆使して、さまざまなものを作り出す仕事でした。それ自体は楽しかったのですが、就業時間が長い職場環境だったため、もう少し自由を求めて退職しました。1992年頃のことです。その後、たまたま目にした求人誌でサン・クリーンを知り、信号機の点検作業補助のアルバイトを始めました。報酬が週払いで現場も家から近く、外に出て働くほうが性分にも合っていたのが良かったのですが、さらに有休の取りやすさなど、当時から社員を大事にしてくれる雰囲気が気に入り、やがて社員になりました。私はサーフィンが趣味なのですが、天気図を見ていると数日後に良い波が来るなと分かるもの。それに合わせて有休申請ができるのです。もちろん、普段からの仕事をきっちりやっていることが大前提ですが、その分、ご褒美のような感じでプライベートもしっかり充実させられる。当時からそういう会社でした。

―信号機の点検というと、一般には馴染みのない仕事ですが、どのようなものですか?

チームごとに都内の交差点などを、スケジュールを組んで巡回し、LED球の交換やボルトのねじ締めなどを行っていきます。その信号機を見るのは年に一度ですので、見逃しなどは厳禁。責任は重大です。難しいのは、信号自体は止められないですし、人も車も完全にはシャットアウトできないので、交通の流れがあるところに作業車を停めて行うということ。何かしらのご迷惑をおかけすることになるので、謙虚な姿勢は常に心がけています。作業をする私たちにとっては、交差点1ヵ所に対して長くても1時間弱くらいのもので、次から次へと現場にいくわけですが、たまたまそのタイミングでそこを通りかかった人や車にとっては、それが全てです。ですから、「申し訳ありません」という気持ちであるべきだし、そうしていれば自ずと伝わるのではないかと思っています。

―ご苦労もあるでしょうが、やりがいも大きそうですね。

信号というのは、世の中の重要なインフラですから、そこを守っているという自負はあります。また、社内のチームは馴染みの、分かり合えているメンバーですが、現場で連携する警備会社のガードマンはその都度違うものなので、その意思疎通には気を使います。交通の誘導を彼らがスムーズに行ってくれてこそ、私たちも作業に集中できます。そうした連携がうまくいったときには、大きな手応えを感じられますね。「安全かつスムーズに効率よく」を毎日考え、皆で創り上げています。

―執行役員として、心がけていることを教えてください。

2022年に執行役員となりましたが、それ以前にもっとも気をつけていたチーム内のことに加え、今はほかの社内のメンバーのことまで目を配っています。たとえば、当社ではチームごとに、点検場所の選定やスケジュール組みを行うのですが、「小学校の近くなので、登下校の時間は避けたほうがいい」「路線バスのルートなので、作業車を止める位置に工夫が要る」など、場所ごとのコツや注意点といったものがあるもの。それを踏まえて予定できているかは、気をつけて見ています。なにしろ、信号機ごとに「年に一度」なので、そうしたノウハウも経験次第。チェックするのは、長年携わる私の大切な仕事だと思っています。
あとは、皆の意欲や体調の管理ですね。自分のチームについては、常に一緒に行動しているので、会話からも調子が把握できますが、他のチームについては、朝と夕に会社でのみの接点です。ですから、私自身、朝早くに出勤して、全員の顔を見ることにしています。目を見て「おはよう」と声をかければ、それだけでも調子がどうか、分かるものですね。「がんばっているな」など、気持ちの部分もそれで分かると思います。

―それは、新しく仲間に加わる新人の方にとって、頼もしいことですね。

そう感じてもらえればよいですね。また、仕事の上でも、その人の好きなこと、得意なことを活かせるとよいと思うので、何に興味があるのか、いろいろ話題を振ってみるようにしているんです。たとえば、私はサーフィンが好きなので、風や空、天候のことに敏感ですし、運動部出身なら夏場など、皆が暑さでバテてしまった時などにも、元気に場を盛り上げてくれるでしょう。インドア派でゲーム好きでも、パソコンや機械の操作が得意であれば助かります。営業経験者なら、初対面の相手にもきちんと物事を伝えられると思うので、ご通行の方々にうまく説明ができるとか、自動車販売などで車の扱いに慣れていれば、私たちの大事な仕事道具である作業車の取り扱いも安心して任せられます。

―いろいろな経験が活かせそうですね。

こういう人に来てもらいたいといった、決まったものはないんです。むしろ、いろいろなタイプの方に来てもらい、知らない世界を教えてもらいたいですね。私たちの現場というのは決まりきったものではなく、常に動き回っているもの。その中では、いろいろな興味を持っている人たちと仕事するほうが、思考も目線もいろいろな方向に向けられます。それらがうまく1つになる、そんな環境にしていきたいのです。
だから、好きなこと、得意なことを活かしてもらいたい。ダメなところ、ちょっと足りないところなどというのは、その人の良いところが発揮できれば、帳消しになると思うんです。とにかく、良いところを引き上げてあげたい。そういう気持ちでメンバーと接しています。

―求職者にメッセージをお願いします。

転職というのは、大きな変化があるもの。せっかくであれば、良いほうに変わりたいと、希望を持って来てもらいたいですね。あなたの良いところを目いっぱい引き出すため、全面的に応援します。また、信号機という社会の大事なインフラを扱う仕事ですが、誰もがほぼ未経験で入ってくるもの。右も左も分からない状態からでもよいので、前向きな気持ちだけはぜひ自分で用意して、飛び込んでみてください。

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